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 JR西小倉から日田彦山線で田川後藤寺方向8つ目の駅に‘採銅所駅’があります。この駅は大正4年開業で昭和55年に無人駅となりましたが、駅舎は昔の情緒を残したままで駅ホームも2面あり線路は2線(かつては3線でしたが現在は2番線廃止)で、駅舎入り口上に掲げられている‘採銅所驛’の表示板が際立って立派なのが嘗ての繁栄ぶりを偲ばせています。

 

 この地は駅名の通り、かつては銅の採掘が盛んに行われていた所で、古くは流通貨幣としては日本最初の和銅開珎を鋳造するのに使われたり、宇佐神宮放生会に銅鏡(神鏡)を奉納したり、また奈良の大仏もこの地で採掘された銅が使われていたようです。

yoshioka-4 町は(昭和31年まで採銅所村という独立体)山と川に挟まれた地域で山側には田畑が広まっており、本当に静かなところで暑さのせいか(8月19日訪)歩いている人もほとんどいませんでした。聞こえるのは側溝を流れる水の音とせわしく鳴く蝉の声だけです。改めて故郷というのはこういう所だったんだなという思いがしました。
 駅から歩いて2〜3分のところには古宮八幡神社という古社があります。道路沿いに神社入り口の鳥居があり、くぐるとすぐに45度はあろうかと思われる急な131の石段があり、上がり終えるといかにも歴史を感じさせる立派な神社がありました。神社の縁起によると古宮八幡宮の創祀は今から1300年前の和銅二年(七0九年)とあり、この神社は先ほどの宇佐神宮放生会へ神鏡を奉納した縁で応仁天皇、神功皇后を勧請(神仏の分霊を請じ迎えること)して八幡神社の呼び名になったと書かれていました。
 ほんの身近な旅でしたが閑静で歴史の深い所と知り、私にとって大変思い出深い場所となりました。

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