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 初めて山笠を見たのは、6年前。 息子とその友達が参加することになった。
初めて見た山笠、最初っから最後まで感動してしまい言葉もない。何に感動って、女がまったく入る隙間がない場所だということ。

 東京の下町出身で、男性陣に混ざっておみこしを担いでいた私にはすべてが衝撃的でした。流れごとに詰所と呼ばれるテントがあり、私は当然のことながらウロウロしてお世話をしようとしたけれど、 少し離れたところから見たら、男の人しかいない! 女が一人もいない。
おばあちゃんが孫を連れてテントの前に現れたとたん、中から息子がすっ飛んできて「お母さん!だめ!」とテントの前を横切らないよう言う剣幕さを見てあ然呆然。横切るのもだめなの?いろいろ決まりがあるらしい。
 山笠ではきゅうりはご法度。これも知りませんでした。差し入れにオイキムチを山ほど作り、持っていく直前で気づいて本当によかった。 子ども達のお世話は、赤手拭のお兄さん方がしてくださる。母たちがテントに入れないから、締め込みを巻くのも、ルールを教えるのも赤手拭お兄さん。
流れの名前が書いてある大きな板を見せて「いいか、おまえら!この字を覚えろ!字が読めないやつも覚えろ!迷子になったらお菓子はないぞ!」「ひょえー!」子供の扱いも慣れてらっしゃる。
 その日の山笠行事が終わると、詰所に戻って「直会」。
これで「なおらい」と読むのも初耳。舁き手が詰所に戻って、大人はお酒、子供はジュースにおいしいごはんをいっぱいいただく。ここでも母たちは一切テントに入れないので、道を挟んで遠くから見守る。母たちが近くに来れないとわかって、子ども達はやり放題。コーラとカルピス、オレンジジュースをお茶で割って飲んでいる。しかし、すぐに赤手拭のお兄さん方に叱られる。

 今の世の中になくなってしまった絶対的な縦社会。それがここにはある。
そのことがとても心地よく、福岡に生まれたからには、ぜひとも山笠とか関わっていてほしいと強く思う。

7月。
博多の町が男の尻で埋まる。

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